
海の深いところに住む美しい人魚姫
海の底の王国
海の深い深いところに、美しい人魚たちの王国がありました。その中でも一番末っ子の人魚姫は、海の世界で一番美しい声を持っていました。彼女はいつも海面に浮かび、人間の世界を見ることに憧れていました。
「人間の世界はどんなだろう?陸の上で暮らす人々はどんな生活をしているのだろう?」人魚姫はいつもそう考え、海の上の世界に強い憧れを抱いていました。
王子との出会い
ある嵐の夜、人魚姫は海で難破した船から若い王子を救い出しました。彼は気を失っていましたが、人魚姫は一目で彼に恋をしてしまいました。王子を浜辺に運び、彼が目を覚ます前に人魚姫は海に戻らなければなりませんでした。
王子は目を覚ますと、近くにいた別の娘が自分を助けたと思い込み、彼女に感謝しました。人魚姫はこれを悲しく見つめるしかありませんでした。
大きな決断
人魚姫の王子への想いは強くなるばかりでした。彼女は海の魔女を訪ね、人間になる方法を尋ねました。魔女は彼女に魔法の薬を与えましたが、代償として彼女の美しい声を要求しました。
さらに、もし王子が他の女性と結婚したら、人魚姫は海の泡となって消えてしまうという条件もありました。それでも人魚姫はこの条件を受け入れ、人間になることを決意しました。
愛と犠牲
人間になった人魚姫は王子と出会い、宮殿で暮らすようになりました。しかし声を失った彼女は、自分が王子を救ったことを伝えることができませんでした。王子は彼女を大切にしましたが、浜辺で出会った娘こそが自分を助けた人だと思い込んでいました。
やがて王子はその娘との結婚を決め、人魚姫は絶望しました。姉たちは海の魔女からもらった短剣を持って現れ、王子を刺せば人魚に戻れると言いました。しかし人魚姫は王子を愛するがゆえに彼を傷つけることができず、海に身を投げ、泡となって消えてしまいました。
しかし彼女の自己犠牲の精神は空の精霊たちに認められ、人魚姫は空気の精霊として新たな命を得ることができました。彼女は今も、愛する人々を見守りながら、空を漂っているのです。